永遠の人 (1961)

阿蘇の大自然を背景に描く小作人の娘・さだ子と地主の息子・平兵衛、元恋人の隆との三角関係の愛憎劇。木下恵介が自から脚本執筆・監督、コンビの楠田浩之が撮影した。

監督:木下恵介
出演:高峰秀子、仲代達矢、佐田啓二、石浜朗、音羽信子、田村正和、加藤嘉

永遠の人 (1961)のストーリー

◇第一章 昭和七年、上海事変たけなわのころ。阿蘇谷の大地主小清水平左衛門(永田靖)の小作人草二郎(加藤嘉)の娘さだ子(高峰秀子)には川南隆(佐田啓二)という親兄弟も許した恋人がいた。隆と、平左衛門の息子平兵衛(仲代達矢)は共に戦争に行っていたが、平兵衛は足に負傷、除隊となって帰ってきた。平兵衛の歓迎会の旬日後、平兵衛はさだ子を犯した。さだ子は川に身を投げたが、隆の兄力造(野々村潔)に助けられ命をとりとめた。やがて隆が凱旋してきた。事情を知った彼は、さだ子と村を出奔しようと決心したが、その当日、幸せになってくれと置手紙を残し行方をくらしました。

◇第二章 昭和十九年。さだ子は平兵衛と結婚、栄一、守人、直子の三人の子をもうけていた。太平洋戦争も末期、隆も力造も応召していた。隆はすでに結婚、妻の友子(音羽信子)は幼い息子豊と力造の家にいたが、平兵衛の申し出で小清水家に手伝いにいくことになった。隆を忘れないさだ子に苦しめられる平兵衛と、さだ子の面影を追う隆に傷つけられた友子。ある日、平兵衛は友子に挑んだ。さだ子は“ケダモノ”と面罵した。騒ぎの中で長いあいだ病床にふしていた平左衛門が死んだ。翌日、友子は暇をとり郷里へ帰った。

◇第三章 昭和二十四年。隆は胸を冒されて帰ってきた。一方、さだ子が平兵衛に犯された時にみまかった栄一(田村正和)は高校生になっていたが、ある日、自分の出生の秘密を知り、阿蘇の火口に投身自殺した。さだ子と平兵衛は、さらに憎み合うようになった。

◇第四章 昭和三十五年。二十歳になる直子(藤由紀子)と二十五歳になる隆の息子豊(石浜朗)は愛し合っていたが家の事情で結婚できない。さだ子は二人を大阪へ逃がしてやった。これを知って怒る平兵衛。そこへ巡査がきて、東京の大学に入っている次男の守人が安保反対デモに参加、逮捕状が出ていると報せにきた。その後へ守人から電話。さだ子は草千里まできた守人に会い金を渡して彼の逃走を助けた。草千里へ行く途中、さだ子はまた友子と会い、息子と会いたいという友子に大阪の居場所を教えた。

◇第五章 昭和三十六年。隆は死の床についていた。直子と豊も生れたばかりの子を連れて駆けつけた。さだ子も来た。隆は死の間際に、平兵衛を苦しめていたのは逆に私だ、謝ってくれと、さだ子に告げた。さだ子は隆を安らかに送るため平兵衛を呼んでこようとした。平兵衛はさだ子の頼みをきかない。が、彼の心もやがて砕けた。三十年間、憎み、苦しんできた二人にようやく平和がおとずれた。

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