カルメン故郷に帰る (1951)

ハイカラ娘の帰省に村は大騒ぎ。わが国最初の総天然色映画として、松竹と日本映画監督協会が企画。脚本と監督は木下恵介、撮影は楠田浩之である。色彩技術には富士フィルムの小松崎正枝と赤沢定雄が当る。

監督:木下恵介
出演:高峰秀子、小林トシ子、佐野周二、笠智衆、佐田啓二、井川邦子、望月美惠子、小沢栄

カルメン故郷に帰る (1951)のストーリー

浅間山麓に牧場を営んでいる青山の正さん(坂本武)の娘きん(高峰秀子)は、東京から便りをよこして、友達を一人連れて近日帰郷すると言って来た。しかも署名にはリリイ・カルメンとしてある。正さんはそんな異人名前の娘は持った覚えが無いと怒鳴るので、きんの姉のゆき(望月優子)は村の小学校の先生をしている夫の一郎(磯野秋雄)に相談に行った。結局校長先生に口を利いてもらって正さんをなだめようと相談がまとまった。田口春雄(佐野周二)は戦争で失明して以来愛用のオルガン相手に作曲に専心していて、妻の光子(井川邦子)が馬力を出して働いているが、運送屋の丸十(小沢栄太郎)に借金のためにオルガンを取り上げられてしまい、清に手を引かれて小学校までオルガンを弾きに来るのだった。その丸十は、村に観光ホテルを建てる計画に夢中になり、そのため東京まで出かけて行き、おきんや朱実(小林トシ子)と一緒の汽車で帰って来た。東京でストリップ・ダンサーになっているおきんと朱実の派手な服装と突飛な行動とは村にセンセーションを巻き起こし、正さんはそれを頭痛に病んで熱を出してしまった。校長先生も、正さんを説得したことを後悔している。村の運動会の日には、せっかくの春雄が作曲した「故郷」を弾いている最中、朱実がスカートを落っことして演奏を台無しにしてしまった。春雄は怒って演奏を中止するし、朱実は想いを寄せている小川先生(佐田啓二)が一向に手ごたえがないので、きんと二人でくさってしまう。しかし丸十の後援でストリップの公演を思い立った二人はまたそれではりきり村の若者たちは涌き立った。正さんは、公演のある夜は校長先生のところへ泊りきりで自棄酒を飲んでいたが、公演は満員の盛況で大成功だった。その翌日きんと朱実は故郷をあとにした。二人の出演料は、そっくり正さんに贈り、正さんは、不孝者だが、やっぱり可愛くてたまらない娘の贈物をそっくり学校へ寄付した。丸十は儲けに気を良くしてオルガンを春雄に只で返してやった。春雄は一度腹を立てたおきんたちにすまないと思い、光子と一緒に汽車の沿道へ出ておきんと朱実に感謝の手を振るのだった。

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